第9章 力を貸して下さい
凛子
「凛子達の隊士に怪我させて、眠らせて!ただで済むと思うんじゃねぇ…!」
異形
「ウッ…グ、ッ…!」
勢いと強さに押され、異形の身体には傷が増えていく。結莉乃から放たれる光が茉白の傷に吸収され消えると、彼女の身体に空いていた穴は塞がった
結莉乃
「良かった…!」
茉白
「ありがとう。貴女は休んでいて」
結莉乃
「ううん、私もやる!」
茉白
「でも顔色が…」
結莉乃
「大丈夫!」
茉白
「無理だけはしないで。良い?」
結莉乃
「うん!」
結莉乃と茉白が落とした刀を持ち直し凛子に加勢する。凛子が異形を蹴ると、その背後をとっていた茉白が異形の肩に刃を突き刺す
異形
「ギャア…!」
茉白
「私の仲間を良くも…っ」
異形
「クソ…離セ…!」
凛子
「逃がさない!結莉乃ちゃん、凛子達も!」
結莉乃
「うん!」
茉白の刀が刺さって動けずに暴れる異形に追い打ちをかけるように結莉乃と凛子も異形の身体に刃を突き刺す
結莉乃
(次は…ちゃんと生きられますように…)
異形
「グギャア…!」
異形は断末魔の叫びをあげて消えていく
結莉乃
「良か…った…」
茉白/凛子
「結莉乃さん!/結莉乃ちゃん!」
肩で息をしていた結莉乃は空に消えていく異形を見上げて呟いたが…その身体が、ぐらりと揺れ崩れ落ちそうになるのを茉白と凛子が支えるよりも先に誰かの腕が彼女の身体を支えた
結莉乃
「…凪…さん?」
凪
「私に身を預けて。…今はお休みなさい。分かりましたね?」
結莉乃
「は、い…」
此処に居る筈がない凪の登場に結莉乃は驚いたが、凪の優しい声と瞼を閉じさせる暖かい手に身体からは力が抜け…その結莉乃の身体を凪は抱き上げる
突然の事に驚いた茉白と凛子だったが、持っていた刀を鞘に収める
茉白
「貴方…壬生領の…」
凪
「はい。鬼王と貴女方の屋敷で待ち合わせておりますので、そちらに向かいましょう」
茉白
「分かりました」
領が近く面識があるとはいえ深く関わりがあるかと言われれば、それは別で。会話をちゃんと交わした事がある方が少ないのかもしれない