第9章 優しさの中に芽生える嫉妬心
炭治郎君と恋仲になって、充実した毎日を過ごしていた
今日、任務明けで帰ってくるな〜
…炭治郎君、怪我してないといいな
好物の梅昆布のおにぎり、たくさん作ってあげよう!
薬を運び終え、優しい微笑みをしながらそんな事を考え歩いてると
突然、目の前に誰かが立ちはだかる
「おはよう、神凪!君は相変わらず美しいなっ!」
身体中に包帯を巻きながら、大きな声で挨拶する煉獄
ちなみに最初に会った時から会う度にこの調子だ
『これは炎柱様、おはようございます。朝のご挨拶は大事ですがお身体に触りますので今は大きな声はお控え頂きたいです』
ニッコリしながら、言うと
「む、君はいつになったら俺を名前で呼ぶのだ?その呼び方は好まないと、何度も言ってるが?」
『私も何度も申しております。お名前を呼ぶ等、おこがましいですと。それから、蝶屋敷にいる間はお静かに療養して下さいと。ついでにいい加減、お薬もお一人で飲んで下さいとも。お薬の度に皆を困らせないで下さい』
静かに捲し立てられ、煉獄は少しムッとして
「相変わらず手強いな!それから…苦いものは好まん!さつまいもの味の薬ならいくらでも飲むんだがな」
『それなら誰も薬を飲むのに苦労しません。大人なんですから、我慢してお飲み下さい』
「…君が飲ませてくれるなら、我慢しよう」
『毎回、私がいる訳ではありません。むしろ、いない事が多いのです。ご自分で飲めるように努力して下さい』
「…では、今日の朝の分は…いいだろうか?」
珍しく甘えるような仕草だが絶対引く気がないだろう煉獄に
『…承知しました』
諦めたように言うと
「ありがとう!やはり君は優しいな」
ニコニコと上機嫌になる煉獄
しかし
「煉獄さーん、おはようございます。朝からまたみずきさんを困らせているのですか~?」
ニッコリしながら、圧をかける胡蝶
「おはよう、胡蝶!困らせてはいない、頼み事をしていただけだが?」
「そうでしたか~。…私の目にはみずきさんの前を塞いでお仕事の邪魔をしているように見えるのですが?」
うっすら青筋を立てる胡蝶
「ふむ、そうだったか…すまない。神凪、用が済んだら来てくれ。先程の件、頼んだぞ!」
言い終わるや否や、踵を返しスタスタ歩いていってしまった