第7章 無口な彼の譲れぬ主張 ~深い愛に溺れて~
『ずるい…私は、義勇さん無しじゃ、ダメになりそうなのに…』
「………俺はもう、とっくにみずき無しでは生きられないんだがな」
視線が合う
「…特に恋仲になってからずっと、俺はみずきがいないなど考えられない」
また、そうやって私を喜ばせて鷲掴みにする
やっぱり、ずるいっ
思わず義勇の胸の中に入り、顔をスリスリすると
「…まだ足りなかったのか?」
さらりと怖い事を言うので全力で首を降ると
優しい顔で
「…冗談だ、ゆっくり眠ろう」
『はい、お休みなさい…義勇さん』
「おやすみ、みずき」
~後日~
煉獄は背後にただならぬ気配を感じ、すかさず振り返ると
義勇が静かに殺気を放ち刀の柄に手をかけて呼吸音をさせていた
「む、かなり激昂しているようにあるが?」
「…あぁ、今すぐお前の首を斬れるくらいには怒っている」
「…ふむ、こちらに非があるのは明らかだが…それは些か野蛮ではないか?」
「…お前がみずきにした事も野蛮だがな」
「口説きながら、抱き締めただけだが?」
「…十分だ、万死に値する」
濃紺の瞳が光り、刀を抜くとヒュゥゥゥと深く呼吸し煉獄に斬りかかる
「水の呼吸 漆ノ型 雫波紋突き」
「炎の呼吸 肆ノ型 盛炎のうねり」
お互いの日輪刀が鈍い金属音をたてる
「冨岡、本気か!隊律違反だぞっ!」
「至って本気だ、そこになおれ…粛清する!」
「ふむ、分かった!謝罪しよう!それで手打ちにしてくれまいか?」
「…謝罪などいらん。代わりに頬を差し出せ、一発殴る」
「うーむ、些か納得しがたいが…冨岡がそれで気が済むなら、いいだろう!」
さぁ、殴るといい!と仁王立ちする煉獄に
涼しい顔で無遠慮に思い切り拳を振り下ろす義勇
左頬に痛烈な痛みを感じ、煉獄がよろめいた
「…僅かに呼吸を使ったな?流石に今のは効いたぞ!」
「…これに懲りたら、2度とみずきに触るな。次はないと思え」
「俺の質問は無視か?ならば、俺は懲りずにみずきを口説くとしよう!」
義勇がまた殺気立つ
「………俺の話を、聞いていなかったのか?」
「聞いていたとも!触れなければ良いのだろう?口説くなとは言われてないはずだが?」
義勇は盛大なため息をつく