第7章 無口な彼の譲れぬ主張 ~深い愛に溺れて~
『…義勇さん、もうそろそろ行かないと…』
「分かっている。…離れがたいだけだ」
さっきからそんな事ばかり言って一向に離してくれない義勇に困るみずき
今から蝶屋敷に手伝いに行った後、炎柱と任務に行く予定なのだが
たまたま、非番でそれを聞いた義勇があからさまに不機嫌になり、後ろから抱き締めてきて今に至る
『…義勇さん』
少し声の音量を上げて名前を呼ぶ
「……いやだ、行くな」
『駄々を捏ねないで下さい。任務なんですよ?』
「……俺の任務には来ないのに何故、煉獄にはついていくんだ?」
とますます抱き締めてくる始末
『…前々から任務同行の要請が来てたのをずっとお断りしていたから今回は断れないんです』
「…俺も、断られた」
『…~、もう、聞き分けて下さいっ』
「いやだ、解せない」
ムスッとして離さない義勇だったが
突然、何かを思い付いたようで口端が上がる
嫌な予感と思った時には遅く
徐に首筋にキツめの口付けをされる
『…んあ…見える所はダメって言ってるのに!』
「…最大の譲歩だ。これは、譲れない」
赤い華を咲かせ、ようやく納得したのか
やっと解放された
義勇を見るとムフフと何故か得意気だ
『…では、行ってきます』
「…あぁ、無事に帰ってこい」
『はい、義勇さん』
玄関までついてきた義勇はみずきを自分の方に向かせ、口吸いをする
『…ん…んんっ…も、やめ…てっ』
濃厚な口吸いをして満足したのか
「……行ってくるといい。次は俺と任務だ。お館様に話を通す」
『…はい』
やっと解放されたので足早に屋敷を出た
蝶屋敷への道中
みずきは物思いにふける
恋仲になってからの義勇さんの甘えん坊というか、独占欲というか、嫉妬心が…凄い
未だに継子を断ってるのが気に入らないのか、日に日に行動が大胆になってきてる
皆が見てる前で手を繋いだり、抱き締めてきたり
あろうことか、口付けまで…してきたり
お陰様で宇髄さんが言わなくても皆に周知の仲になってしまって恥ずかしくて仕方ない…
あんなに情熱的というか…主張が激しいとは思わなかったな
…私は相変わらず、あまりつれない態度しか出来ていないのに
義勇さんは凄く、愛情表現してくれてるのに…
どうしたら、私の愛情…伝わるかな?