第12章 高貴な方の唯一無二の支え~スルタン~後編
鳥のさえずりで自然と目が覚めた事に驚いた
それほど、熟睡をしてしまった事に
…まだ侍女や護衛ならば、完全に失格のレベルだが
信じられない事に、まさか義勇様の妃に召し上げられるなんて…
起き抜けのあまり回らない頭でぼんやりと考えていると
「…状況整理は、出来たか?」
全てお見通しな義勇様が横で微笑みながら、こちらを見ていた
『…あ、はい、出来ました。…おはようございます、義勇様』
「おはよう、みずき」
義勇様は私の髪を撫でながら
当然のように引き寄せ、甘い口付けをするから
口端から媚声が漏れてしまう
『…ふ…っ…んっ…』
また、あの感覚が身体を占める
義勇様の舌が口内に入り込み、直接【気】が流れ込み身体が痺れる
慌てて、唇を離すと
『…義勇様っ…朝から、こんな…深い口付けは…』
「………昨夜は体力がなかっただろうから、あれで終わらせたんだが?」
『…あ、あんなに激しかったのに…足りなかったと?』
「…あれで、激しいか。……最初は誰でも慣れないからな、要は慣れだ」
そう紡ぐ義勇様の唇がお互いの唾液で艶めかしく光り釘付けになる
何でこの方は、こう、いちいち色香を漂わせるの?
こちらの身がもちませんっ!
義勇様に失礼とは思いつつ、背を向けてベッドから降りようとすると
「…どこへ行く?」
腕を掴まれ、耳許で甘く囁かれ
力が抜けてしまう
それを良い事に、そのまま耳を甘噛みされ
ベッドに引き戻されてしまう
「みずきは、油断するとすぐに逃げようとするからな。……逃がす気はない、諦めるといい」
言いながら、首筋を舐め上げられ
またも耳を甘噛みされ、中に舌を射し込められる
耳が卑猥な音に犯され、身動ぐが
義勇様に抱え込まれ、上手く動けない
「…昨日の続きだ、身体に俺を覚えさせる」
片方の手が胸をやんわりと触りながら
もう片方は下腹部へ伸びる
ツーッと身体のラインに添うように撫で下ろされ
ビクリと反応してしまう
『…ぁっ……ンッ…』
この時間は侍女達が動き始める時間だと
理性的に媚声を漏らすまいと口を手で押さえて我慢するみずきの仕草に
若干、加虐心が疼く
朝から皆に甘いさえずりを聞かせてやりたいような
誰にも聞かせたくないような、不埒な悩ましさだ