第11章 高貴な方の唯一無二の支え~スルタン~前編
…何か聞こえたが、この方は言い出したら聞かないと学んでいるし…その策の内容も、怖いので聞こえなかった事にしよう
はたと義勇が動きを止める
「…有耶無耶になったが先程の質問、答えをもらっていないが?」
先程の…あ、考える時間の件ですか?
『…考える時間が欲しかったのは、私の今後についてです。……反故にする程、迷うなら…は、初めてを捧げたりなど致しません』
恥じらいながら、答える
さらに
『…わ、わたくしも初めて…拝顔したその時から、義勇様に特別な【何か】を感じて…おりました』
小さな声で告げたのに
顔を見上げると今までで1番満足げな表情を浮かべ
「そうか」
と言いながら、グングン湯殿から閨へ移動する速度が上がる
深夜なので侍女達こそいないが、王族には必ず護衛とは別に王直属の隠密(近衛隊士)がついている
よく探らなければ、分からないがみずきも義勇も実力者なのでほんの微かに王宮の各所から存在を感じる
…明日の朝には、この出来事がきっと報告として王の耳に入り大事になるのは明白だ
だが、俺には好都合だ
準備は万端、整っている
いつまでも俺を甘く見過ごしていた事を後悔するといい…
一見涼しい顔をしながら、一瞬黒い顔をする義勇を見ないフリするみずき
怖すぎる…
何となく、義勇が何を考えてるか分かり冷静に分析するみずき
…現状の把握、その場の掌握、人心の操作が得意過ぎませんか?
やっぱり、私はとんでもない方の妃になるようです…
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義勇の寝室に着くが下ろしてもらえず、ベッドに連れていかれ優しく寝かされた
『…あの、義勇様?』
「…なんだ、まだ何かあるのか?」
『言いにくいのですが…今日は、その…もう…体力が』
「皆まで言わずとも、分かっている。…さっきも言ったが、ただ一緒に眠るだけだ。安心するといい」
起き抜けは保証しないがな、と心で呟く義勇
『わ、分かりました。おやすみなさいませ、義勇様』
「あぁ、おやすみみずき」
目を瞑ると、告白、初体験等、色々ありすぎて疲れがドッと出て久方ぶりにすぐに眠りに着いたみずき
その姿を静かに眺めながら、今後の展開(操作)を楽しみにムフフと密かに笑う義勇であった…
ーー後編へつづくーー