社畜女のシンデレラストーリー ≪ONE PIECE≫
第30章 初デート
着いた先にあったのは、超高級ブランド店だった。
この店に来る前までは、椿姫が行きやすく、購入しやすい店ばかりだったのだが、ここに来て椿姫が今まで1度も来たことのないような店を前に足取りがだんだん重くなっていく。
カタクリは慣れたように椿姫の手を引いて店に向かう。
椿姫が少し引きずられるように店に入っていった。
「いらっしゃいませ。」
「!・・・カタクリ様、ご来店ありがとうございます。
本日は如何様な品をお探しですか?」
常連なのだろうか、従業員がカタクリを確認すると、近づいてきて挨拶をされる。
カ「あぁ、ちょっとな・・・
椿姫、悪いが俺は少し話があるから、店内の物を自由に見て待っててくれ。」
『え?・・・(あ、やっぱりカタクリさんの買い物もあったんだ!これは邪魔しちゃいけないよね?)
わかりました。
気にせずごゆっくりどうぞ。
私もこういうところ初めてなので、せっかくだからじっくり見てきます。』
カ「あぁ、終わったら声をかける。」
そう言うと椿姫はカタクリのもとを離れ、店内を見回り始めた。
「カタクリ様、珍しいですね?
貴方様がご兄妹以外の方を連れてくるなんて・・・しかも女性を連れていらっしゃるとは・・・」
カ「・・・アイツは今までとは違うんだ。」
「よほど大切な女性なんですね?
もしかすると、本日のご来店の目的というのは・・・」
カ「あぁ、そうだ。
椿姫の物を買いに来た。」
「なら、そう言えばいいのに」
カ「今日1日、ずっとアイツの買い物をしてきたが、遠慮ばかりしていたし、欲しいものも欲しいと言う性格ではない。
ほとんど全部の店で、本当に欲しいだろうものより、それに似た安いものを選んでいた。
ここに来たら、全てがアイツの想像を超える金額だろう?」
「先程、あのお連れ様は"こういうところ初めて"だと言っていましたね。
でしたら、確かにこういう店は自身の想像の先を行く金額なのは考えなくてもわかりますね。」
カ「高いものを望めない生活だったからな。
好きなのを選べと言っても、聞かない可能性が高い。
だからあえて俺の物を買うと言って、自由にさせた方が良いと思ったんだ。
"買わなくても、見るだけならいくらでもできる"そう思っているだろう。」