社畜女のシンデレラストーリー ≪ONE PIECE≫
第29章 秘書の過去
『・・・中山さんも、そんな大変な過去があったんですね。』
秘書「はい。ですが、あの出来事があったから、今こうして社長のもとで仕事ができていると思っています。
本当に社長には感謝しかありませんよ。」
『息子さんはお父さんに会いたいとか、言わないんですか?』
秘書「・・・どうでしょうね?
口では別に会わなくても良いって言っていますが、本心じゃあ会いたいと思っているかもしれないですね。
ただでさえ、いろんな学校行事で、父親の来ている友達を見て、少し寂しそうにしていましたから。」
『・・・再婚とか考えなかったんですか?』
秘書「・・・考えたことは何度かあります。
でも、もう二度とあんな思いはしたくはないって思ってしまって・・・
もう、男性を信用できないんですよね。」
『それは、ずっと仕事で一緒だったカタクリさんに対しても、ですか?
恋心とかあったんじゃ・・・』
秘書「いえ。社長は信用しています。
私を助けてくださいましたし。
ただ、仕事上は尊敬していますが、男性としてはどうしても見れませんでした。
もう、怖いんですよね。
だから私は、もう誰のものにもなりません。」
『・・・初めて会った時に、"男性よりも女性が・・・"って言っていたのは、過去のことが影響しているんですね。』
秘書「そうなんです。
今の時代でも"男の浮気は甲斐性だ"と言われます。
それで傷つくのは女の方。
そう言うのも嫌なんです。
せめて同じ女なら、思考は大体は把握できますから、そっちの方が気が楽だと思っていますから。」
『そのセリフは、もしかして離婚する時に言われたんですか?』
秘書「えぇ。義両親に。
"そんなことでお前が慰謝料もらえると思っているのか?
浮気は男の甲斐性だ。
寧ろ、お前はそれでも三つ指ついて旦那を出迎えれば良いし、旦那が離婚と言ったら、金を置いて出て行くのが常識だ!"
その言葉が頭から離れないんです。
元旦那も元旦那でしたが、義両親も義両親。
もう、あんなことはご免なんです。」
『すいません・・・辛い事思い出させてしまって・・・』
秘書「いいんです。
そう言ったこともあって、今はあのファミリー向けのマンションに息子と2人で生活しています。
度々会うこともあるかもしれませんが、その時はよろしくお願いします。」