社畜女のシンデレラストーリー ≪ONE PIECE≫
第27章 不器用な男の愛し方
『っ?!・・・中山さんから、聞いたんですね。
良いんですよ、慰めていただかなくても。
ただでさえカタクリさんとなんて釣り合わない。
身分相応ではないのにあんなこと・・・
未遂だったとしても、好き勝手された身体は同じことです。』
椿姫はソファー上で体育座りの状態になる。
背中を丸めて、両膝に顔を寄せ俯いたまま会話を続ける。
『少し考えたらわかる事なのに、昨日はずっとバタバタしていましたし、誰かと付き合うこと自体初めてだからと浮かれていた。
昨日の別れ際のカタクリさんの態度は、そういう事なんですよね?
私に状況を教えてくれたんですよね?
だから慰めなくても良いですし、無理に触ろうとしなくて良いですよ。』
カ「椿姫、俺は・・・」
椿姫は思い立ったように顔を上げて、苦しそうに微笑みながらある提案をする。
『あ、それなら、付き合うのも白紙にしましょうか?
その方が、気を使わなくても済みますし、こんな女にカタクリさんの大事な時間を割くわけにもいかないでしょ?
あの時のあの言葉は、私にとっては嬉しかったけど、でも、カタクリさんの一時の同情でこれからを縛るわけにはいきませんから。
それと、私が1人になるからって可哀そうに思ったりする事もなしです。
私はもとから1人です。
家族とはもともと心が離れていました。それが身体でも離れるようになっただけ。
友達もまともにいませんでしたし、ご存知の通り彼氏もいませんでした。
心で繋がっている人なんていなかったんです。
だから、可哀そうなんて思わなくても結構です。
1人は慣れていますから。
これからは、自分1人で自由に生きていけばそれで良いんですから。』
カ「(椿姫は自ら1人になろうと言うのか?
1人でいるのが寂しいことを、俺も十分知っているのに・・・)」
カタクリは幼少期の自分を思い出していた。
”フクロウナギが来たぞー!
近寄るな、あいつ強さも化け物なんだ!!”
悪口や嫌がらせを受けて、忌み嫌われていた時代。
当時は友達と呼べる人はいなく、少し寂しい想いを抱えていた。
だが、自身には兄妹がいたし、自分の気持ちに親身になって寄り添ってくれていた。
年の近い兄妹は自分の牙の件も知っていて、そのことで起きたことは全て知っていて、励ましてくれるし、認めてくれる。