社畜女のシンデレラストーリー ≪ONE PIECE≫
第23章 絶縁宣言
カ「辞めた時は何も言われなかったのか?」
『もちろん言われましたよ。
でも、それ以前に当時の私は他人と仲良くするのが苦手だった。
旅館の人達との人間関係もうまくいかなくて、ご飯食べる時間も無い、コンビニも近くにない、そんな生活だったからメンタルやられていたんです。
だから、逃げるしかなかった。』
カ「今はしっかりやれてるように見えるが?」
『そりゃぁ、何年もやれば、人間なれるもんですよ。
帰ってきて、直ぐに免許を取りました。
あの人たちは反対しましたが、この辺りだと免許も車もないと生活できない。
就職さえまともに出来ないことを言ったら、あっさり認めてくれました。
その後も”早く仕事見つけろ”って言われすぎてて、嫌になっていた所に、今の会社がメインドーナツを始めるっていう求人を見つけて、それですぐ応募したんです。』
カ「そんな流れだったのか?」
『(コクン)最初はオープンだったから時給結構高かったんです。
だから両親も承諾した。
私が正社員になって、基本家にいないようになると、何も言わなくなりましたが。』
カ「そうしたら、会社からも奴隷のように扱われる・・・か。
椿姫、これからは俺がちゃんとした勤務体制にするし、成果に見合った報酬もしてやる。
もちろん、私生活でもお前をちゃんと守ってやる。
俺は絶対にこの手を離さねえし、離してやらねぇから、椿姫もこの手を離すんじゃねぇよ。」
カタクリは片手で椿姫の膝の上に置かれている手を握り、目をしっかり見てそう言った。
『カタクリさ、ん...ありがとう、ございます。
...ぅう....』
椿姫は握られたカタクリの手のひらのあたたかさと、優しい眼差しと声と、椿姫を見捨てないというような強い信念に、椿姫はギリギリ保っていた精神が崩壊して、カタクリの手に縋る様に泣き始めた。
カタクリは相手いる方の手で、泣き始めた椿姫の肩を抱いた。
抱きしめながら、自身の今までの境遇と椿姫の境遇を重ねていた。
”フクロウナギが来たぞー!
近寄るな、あいつ強さも化け物なんだ!!”
”あの女に似ているアンタが嫌いだったのよ。
その目、なんでも見透かしそうな目だって、日を追うごとにあの女の目に、視線に似てきた。
気持ち悪かった。”