社畜女のシンデレラストーリー ≪ONE PIECE≫
第19章 NGワード
彰子「まるでヒーローとか王子様ね?」
『そうだね。大きくて、あったかくて、どこか安心する、守られているって。
私が倒れた後も、定期的に連絡くれるし、ちゃんと食べてるか心配もしてくれる。ここまで気にかけてくれる人はいなかった。はじめてだった。
・・・その時に自覚したの。
言い寄ってきた男から守るように、私を背中に隠してくれた時のあの大きな背中を見て、好きだと思った。
いつからだったと思い返したのもその時。
初めて会った発表の時から、私はカタクリさんの生き方、人柄に惹かれていたんだってね。』
彰子「・・・さっき"好きだった"って言ってたけど、なんで過去形なわけ?
今も好きなんでしょう?」
『・・・私に話したいことがあるって言う内容が、私をメインドーナツ本社に引き抜きたいっていう内容だったの。
その時に、なんで今のタイミングで引き抜きの話を渡しに持ち掛けたのかとか、カタクリさんが調べたうちの会社の裏話を聞いた。私も納得せざるを得ない内容でね。でも、こんな私がメインドーナツ本社に行っても良いのかな?って迷惑じゃないかな?って思ってた。
でもカタクリさんは"ずっと前からメインドーナツに引き抜きたかった、私のためのコンテストなんだ"って聞かされた。
でも、カタクリさんの近くにいるようになると、好きが溢れそうになりそうで、久々の恋に耐えれなくなりそうで、カタクリさんに聞いてみたの。』
彰子「・・・・なんて?」
『何故ここまで良くしてくれるのか?気にかけてくれるのか?優しくしてくれるのか?
私が入院したときも支払いをしてくれたのか?守ってくれたのか?
なんで、私なんかをあんな会社から救い出そうとしてくれるのか?
ってね。答えに期待して。カタクリさんも同じ気持ちならって希望を抱いて。
そしたらね、"会社の社長として友人として救い出さなきゃきがすまない"って言われちゃった。
期待した自分が馬鹿だった。
やっぱりカタクリさんも"あの言葉"の呪いの通り、私なんてただの友人でしかないんだ。
それ以上の感情は無くて、カタクリさんの心に私はいないんだって。
カタクリさんだけは"あの言葉"を言っても、私の呪いを解いてくれると信じたかったんだ。』
彰子「椿姫ちゃんの唯一の王子様だって思いたかったのね?」