第19章 NGワード

彰子「その人、よっぽどイケメンだったのね？」

『うん。それで、何回か会った時に告白したの。思い切ってね。』

彰子「結果はどうだったの？」

『...振られたよ。
「悪くないけど、もっと出てるとこ出ないと」ってね。
前会社の時に仕事がキツくて、普通にまで痩せたの。
代わりに胸とかも無くなったけどね。
その痛いところをアイツは指摘したの。』

彰子「デリケートな所を皆言ってきたのね？もう！デリカシーが無いのって嫌い！」

『私、見る目無かったんだよね。
...今まで好きになった人って、どこか悠吾に似ていた。
優しさ、ちゃんと私の内面を見てくれる、声がそっくり、スポーツが得意・・・

時には悠吾のお兄さんも好きになった時もあったよ。
兄弟だからやっぱり似ていた。

極めつけが、さっき言った一目惚れした最後の彼。
アイツは・・・
顔が似てた、格好も、背丈も、後ろ姿も、何もかも似てた。
兄弟以上にね。

無意識に悠吾と似てるところを探してたから、見る目無かったのかな？って思うんだ。』

彰子「だから、無意識に追いかけてて、囚われているのね？

・・・カタクリさんが"悪くない"って言った時に、あの反応になったのは、今までの彼たちが原因ね？」

『うん...今までそう言われて拒否されたから、ちょっとキツめの言い方になっちゃった。
それに対しては悪いと思ってる。

カタクリさんが、私のこと好きになるはずないってわかってるはずなのに、まるで期待してた。
私のこと色々聞いてきてたから。』

彰子「それはプライベートのこと？」

『ほとんど仕事のことだったかな？

....笑っちゃうよね。自分の契約先の店の事だから、聞くのは当然だよ。
うちの店で何かあったらメインドーナツ全体のイメージダウンに繋がる。その可能性を阻止するために聞いたんだから、社長が知りたくなるのは当たり前だよ。

それに勘違いしたんだよ、私は。』

彰子「椿姫ちゃん、それじゃまるでカタクリさんが好きだって言ってるもんだけど？」

『・・・彰子ママなら、わかってるでしょ？

私の気持ち。』

彰子「それでも、確証が無いもの。

椿姫ちゃんは恋愛について、何も言わないから。」

『・・・好きだよ。いや、好きだった。

初めて会った時から。』