社畜女のシンデレラストーリー ≪ONE PIECE≫
第17章 すれ違う気持ちと姉の存在
椿姫がホテルから出ていこうとする頃、カタクリは部屋に朝食を持ってきてもらい、従業員が部屋を出ていったのを確認すると、口元のファーを取り朝食を食べ始める。
カ「・・・椿姫は朝食を食べただろうか?
おそらく起きたとは思うが・・・」
カタクリは椿姫を気にしながら朝食を食べ進めていく。時折、隣の部屋をじっと見てしまう。
実はカタクリのいるスイートルームの隣は椿姫に宛てられたジュニアスイートルームだった。
昨夜、BARから戻ってきてからもカタクリは常に隣の部屋を気にし、寝る時も椿姫の部屋の方を向けて眠ったのだった。
隣の部屋との扉間隔が広い事と防音機能がしっかりしているため、誰が出入りしているのか、何をしているのかを容易に知る事はできないが、隣に椿姫がいるというだけでカタクリは少し浮ついた気持ちになった。
朝食も取り終わり、フロントへ連絡して済んだものを下げてもらうように指示を出す。連絡したらすぐ自身の口元にファーを着けた。
しばらくして従業員に済んだものを頼み、自身はソファーに座り様子を見る。
片付けも終わり従業員が出て行く前に、カタクリは声をかけられた。
従業員「カタクリ様、おくつろぎの所申し訳ございません。少しよろしいでしょうか?
國生 椿姫様の事でお話が。」
カ「なんだ?椿姫がどうかしたか?」
従業員「國生様が先程、朝食も取らずにお帰りになりました。
なんでも、"食欲が無い"と言っていたようです。
その後、忘れ物が無いかを確認したのですが、こちらが。」
ホテルの従業員は後ろで待機していた従業員に、とあるものを渡される。それをカタクリに見せた。
カ「・・・っ!これは!!」
従業員「昨夜の國生様が着用されたドレスと靴、装飾品であるネックレスが置かれていました。
こちらは当ホテルで貸し出しをしていないものですが、カタクリ様何かご存知でしょうか?」
カ「あぁ・・・これは俺の家に送っておいてくれ。全てな。」
従業員「かしこまりました。」
従業員はカタクリの部屋から出て行った。
カタクリは先程見た、昨夜椿姫が着ていたドレス一式を思い出していた。