第5章 貢ぎ癖の始まり(第13.5章2)
3月14日 ホワイトデー
この日も椿姫は駅前店のオープン作業を終え、休憩がてら同じオープン作業をしていたパートと話をしていた。
『もうすぐオープン時間だね。
はぁ、今日はホワイトデーだから、お返しとかで買っていく人多そう。』
「いつもそうですよね?
バレンタインデーは女の子たちが、ホワイトデーはお返しを買う男性方が。
この時期は本当に忙しいですね。」
『そりゃあ、そうでしょ?!
クリスマスに並んで忙しいバレンタインとホワイトデー。
それ以外は特にそう言ったイベントも無いしね〜。』
2人の会話から数分後、もう1人パートが出勤し、最終確認をして店を開けた。
椿姫の予想通り、オープンと同時に数名のサラリーマンが店内に入ってきた。
そのほとんどが1人10何個~20何個と買っていく。
恐らく会社の女の子達に、バレンタインのお返しとして買っていくのだろう。
商品を補充してもすぐに消えていくドーナツを、椿姫の神さばきで何とか凌いだ。
1時間もすると来店客も落ち着いて、少し余裕がでてきた。
そして、気付かぬ間に出勤していた店長の彰子に声をかける。
『店長!おはようございます。
今年のホワイトデーも凄いですね!』
彰子「おはよう、椿姫ちゃん!
うちはいつもバレンタインよりホワイトデーの方が少し売上あるからね〜。
特に朝と夕方。
朝は出勤前にバレンタインのお返しで会社に、夕方は仕事後の帰りに家族に買っていくからね〜。
ここのドーナツが何より喜ばれるのかしらね?」
『そうですね?
このあたりだと、丁度いいお返しってあんまりないですから。
ここのドーナツが1番人気らしいですよね?』
彰子「そうよ?
それを狙ってのこのセットよ。
今日もそれが出てるでしょ?」
『はい。
皆さんこのセットを選ばれるので。ちょっと大変ですがね?』
駅前店では、バレンタインとホワイトデーの期間限定としてセット販売をしている。
6個セットで50円引
10個セットで100円引
15個セットで150円引
この3セットを特別販売している。
6個セットは自分で好きな商品を選べて、他の10個、15個セットはこちらが良いようにランダムで入れている。