第2章 一人ぼっちのEve(第9.5章1)
カ「先月の店舗査定の翌日、アイツの運転で各地を回った時に見た椿姫の車のキーケースがボロボロでな。
その時、世間話程度に聞いてみたら、"新しいの買いたいけど、中々時間がない。買うなら良いのが欲しいが、そんな余裕は無いから買えない"と言っていた。
おそらく、今も買えないのだろう?
だからクリスマスプレゼントとして椿姫に贈る。」
秘書「彼女の欲しいもの、ということですね。
先程の話からしたら確かにこれが1番良いですね。」
カ「あぁ。
それと、お前が買いに行っている間にホテルに連絡する。
特別ディナーのセットと、お前が持っていくプレゼントを椿姫に届ける手配をな。」
秘書「そうですか。それは良いと思います。」
カ「ケーキももちろん万国グループのケーキだ。
おそらくアイツが食ったことの無いデカさだろうな。」
秘書「それはそれは。随分手厚い対応ですね。」
カ「それはそうだ。
俺は椿姫をうち引き抜きたくていたのを何年待っていたと思う?
4年だぞ?
あの発表の後からずっと思っていたんだ。
待っていたんだ。
やっと叶いそうになってきた。
椿姫がすんなりうちに来てくれるなら、なんでもしよう。
大金積んでも良いとさえ思っているんだからな。」
秘書「國生さんが本命。ということですね。
(本当はそれ以外の気持ちもあるのに。鈍感な人ですね。)
それではこちら、行ってまいります。」
カ「頼んだぞ。あれなら運転手使っても構わない。
そのカードでゆっくりコーヒーでも飲んできても良い。」
秘書「私の仕事もありますから、ゆっくりはしていられませんが、運転手は使わせていただきます。
それと、持ち帰りでコーヒーだけは買わせていただきます。」
カ「そのプレゼントを買ってホテルに届けるなら、なんでもいい。
気をつけて行ってこい。」
秘書「はい。それでは失礼いたします。」
そして夜になり、椿姫からのメールが来た時にどうせならと、翌日の万国グループのクリスマスパーティーへの招待もしたのだった。
カタクリ曰く、メインドーナツに来たら万国グループとのやり取りも必須になってくるからという言い訳を翌日中山に話したそうだが、本心はそうでないと思う中山であった。