第13章 13、ハリネズミのジレンマ
武装探偵社。ある日の一日。
「乱歩さん。お疲れ様です!今日も大好きです!」
乱歩さんの席に行き、毎日の様に言っている想いを告げる。
そんな想いの答えは、それまた毎日同じで
『はいはい。分かったから。今日の事件の資料くれる?』
「はい!これです!」
これが日常。
乱歩さんは、私にだけ素っ気ない。
他の事務員さんにはふつうに話してるのに。
社員の鏡花ちゃんになんて、ねるねるねるねるあげてるくせに。
邪な気持ちに囚われそうになり、ぶんぶんと頭を振って目の前の乱歩さんを見る。
あぁ、その資料を読む目も、
飴を舐める唇も。
ぜんぶ好きだなあ。