第11章 11、お土産(中也落ち)
夏休みが終わり、文化祭が近付くある日の放課後。
「ぁぁぁ、、しにそう、、、」
「ちょっとゆめ。大丈夫?」
授業に使った教科書をばら撒きながら机に突っ伏す私を、クラスメイトが笑いながら頭を撫でてくれる。
大丈夫どころじゃない、テストで25点を取ってしまった。100点満点の。
「大丈夫じゃない!今日はバイトもない!寝たい!」
わっと起き上がる私を見て、けらけらとクラスメイトは笑い、気分転換に海でも見てきたら?と言ってくれる。
「海かー、、、、」
海に近い横浜に住んでいるとはいえ、遠足程度でしか海に関わったことは無かった。
バスで10分程度だし行ってみてもいいかもしれない。
「行ってみる!!ありがとね!!」
お土産なきゃ殴るからねーー!なんて言葉を背中に受けながら、近くのバス停まで走る。
なぜだか、25点の点数を上回る幸せがあるような気がした。
バスの中には私と運転手しか居なかった。
こっち方面に来るのはいつぶりだっけ。
空気循環の為に開けられた窓からは優しい潮の匂いがした。