第10章 10、ヒーロー
荷物は全部店長の家だ。
服装だって制服のままだった。
けれど、私は自由になった。
髪で隠していた補聴器も、今は露わになっている。
隣で子供のように笑うヒーローのおかげで。
『あ、笑ってる。』
ヒーローは私の顔を覗き込んだ。
その笑顔の方が似合うよと、笑ってくれた。
「先程仰っていた、ブソータンテイシャ?とはなんなんですか?」
『武装探偵社ね。まー、僕が名探偵で生きる場所だよ!』
よく分からない説明、、、。
あ、そういえば、
「そういえば、貴方の名前をお聞きしていませんでした。」
店を出てからずっと繋がれた手を軽く握ると、優しく握り返してくる。
『確かにそうだったね。』
『僕の名前は江戸川乱歩。』
『ゆめを守る、世界一の名探偵だよ!』