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陽の沈む夜に。

第14章 歌小説 HappyBirthday backnumber



※時間軸エピソード2直前のオビワン誕生日

神聖なジェダイ聖堂の一角に位置する部屋で
悩ましげに髭を撫でるのは、部屋の主オビワン。
言うことの利かない弟子に対しての日々の悩みではない。
そんなことは取るに足らない大きな悩みだ。

そう。エキドナに誕生日を祝って貰っていないのである。

ジェダイというのは盛大に誕生日を祝うことは良いとされていないが
ささやかな誕生会や、プレゼントは貰う。
ある年は小さなプレゼントを、ある年は一緒にバーで飲んだりと。
アナキンを鍛えるとなってから毎年なにかあったというのに、今回は祝いのメッセージすらない。
タブレット端末の通知音でふと目を覚ますが、今の彼にとってはどうでもいいものばかり。
そんな状況にジェダイマスターであろう彼が、悩みに悩んでいた。



認めたくなかった恋心に折り合いをつけ、認めはじめて3年。
彼女と酒を飲んでいると高ぶってくる心臓の鼓動。
息が苦しくて、身体が熱くて、夜眠るときいつも思い出す。
恋愛経験がないわけではなかった。
しかし、パダワンの時に抱いていた未知の世界への憧れから導き出された気持ちとは違い、
それはもう考えるだけで幸せなものだった。



そういえばこの前アナキンが聖堂の大階段から転げ落ちて……
彼女を笑わせられるそんな取るに足らない話は無限に思いつくというのに。
あの勇敢な小さな体を抱きしめていい理由だけは見つからない。
気持ちとは裏腹に、絶対に行動できない身分と関係であるオビワンは、
「…そうか。そうだろうな。」
そう切なそうに小さくつぶやいた。
彼女が自分を好いているはずがない。そう信じて疑わないのだから。

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