第5章 The Clone Wars .0
「こんなはずじゃなかったのに…!」
「やめて!ねぇ!!」
「嫌ァああああっ!!!!!」
はっと目を覚ますエキドナは、まだ暗い窓と、まだ目を閉じ、すやすやと眠る彼の寝顔に、先ほどまでの悪夢が夢だと分かり、ほっと息をつく。
エキドナはクローン戦争が始まって以来たまに見るその夢の不快感を拭うべくベッドを降りた。
また今日も見てしまった。とぼーっと窓を眺めていると、ぐっすりと眠っていたオビワンがいつの間にか起きていた。
「エキドナ?」
「あぁ、オビワン。おはよう。」
「何を黄昏てたんだ?」
「今日もまた、悪夢を見て。」
オビワンには何度か相談していたので、あぁあれかと彼は髭を触っている。
まだ目が起きていないオビワンは、寝癖をつけていてなんとも可愛らしい。
しまいには大欠伸するオビワンは、グリーヴァスと戦っている彼とは大違いで、エキドナは自然に頬が緩んだ。
聖堂に帰ってきた日は、周囲にばれぬよう一夜漬けで報告書を作っていたという設定で通している。嘘ではない。彼らは4人一組で行動することが多く、また任務完遂率の高さから膨大な量の任務をこなしている。その分書類は引っ付いてくるのだ。
一緒に寝ることは、その理由がつけれそうなほどの書類の量がある日に限られていて、基本スターデストロイヤーの中で揺られている2人は、せいぜい同じ船に乗っていることが数少ない癒しである。
よって、このような朝を迎えられることは二人にとって、癒しを通り越して溶けてしまいそうなほど幸せな時間だった。
「やはりコルサントの朝は格別だな。」
「船内のベッドはどうも気が休まらないね。」
船にはアナキンとアソーカが一緒であることも多く、彼らが別の船に乗っていても、トルーパーが同乗しているので、恋人としての時間というものは、本当に限られている。
2人は、この限られた恋人として居られる幸せに、朝から浸る。
「エキドナ安心しろ。私がいるよ。」
エキドナの後ろからオビワンはぎゅっと抱きしめると、少し寒い2人の体は暖かくなる。
…体が温まってきたころ、この恋人たちは、ほかのジェダイが活動を始める前に支度をはじめ、オビワンは報告書の提出に、エキドナは自室に戻る。
そして今日もまた、ローブを翻してコルサントを旅立っていった。