第20章 ぷちバケーションin保養所、の巻
再び深い眠りに落ちた愛しい妻を抱き締めながら
最近はうなされなくなってたのに、どうしたんだろうと思いを巡らせてみる
(…温泉のせいかなぁ…)
智くんと初めて行った温泉旅行
それは、智くんがまだ松本くんとちゃんと別れる前の事で
きっと智くんは俺以上に後ろめたい気持ちで居たに違いなかった
(もしかして、あの時女装してたのは、普段の自分から離れたかったからなのかも知れないなぁ…)
無意識に、松本くんへの罪悪感から逃れるようとして、違う自分になろうとしていたのかも知れない
(その事をまた無意識に思い出しちゃったのかな…)
「……沢山、辛い思いをして来たんだもんね……君は」
俺は涙で濡れた頬に、そっと口付けた
幸せに、してあげたいって、心から思う
アリトアラユル不幸を背負ったような悲しい人生を送って来た君に
俺の持てる全てをかけて
幸せに……したいって思う
「本当に……俺に出来るかは解らないけどさ……
……一生かけてでも、君を世界一幸せにしてみせるよ」
ちょっと力を込めたら、壊れちゃうんじゃないかと思うような
そんな儚げな愛しい君の背中を抱き締めて
俺は、柔らかな君の首筋に顔を埋めた