第20章 ぷちバケーションin保養所、の巻
「…?智くん起きたのかな?」
ベッドの方へ戻って、智くんの顔を覗き込むと
微かに肩を震わせて
……泣いていた
「!!!」
ビックリして起こそうと智くんの肩に手を掛けたら、智くんが小さく震える声で寝言を言った
「……………ぃかない……で」
「………」
俺は智くんの隣に横なると、そのまま黙って、智くんの体をそっと抱き締めた
「っ……ぃや、だ………ぃやだ、潤くん……
……行かない、で………行かないで……」
ポロポロと涙を流しながら、二度と自分の元には戻らない人の名を呼ぶ智くん
俺は智くんを抱いた腕に少しだけ力を込めた
「……何処にも行かないよ、智……俺は何時でもお前の傍にいるから……」
「………」
松本くんなら、きっとそう言うだろうと思ったセリフを囁くと
智くんは、安心したように小さな溜め息を一つ洩らして
深い眠りに落ちて行った