第20章 ぷちバケーションin保養所、の巻
「…え?」
「平安時代の貴族の遊びでさ
二枚貝を二つに分けた物に絵を書いて、元の組になるように合わせる遊びだよ」
「…それが、何よ」
「同じ様に見えても、元々一つの貝だった組み合わせじゃなきゃ、絶対にピッタリ合わさらないんだよ」
「……」
「運命の人もね、同じ。
…初めから一つに成るために生まれてきた運命の相手とじゃなきゃ、ピッタリ合わさらないの」
「…そんなの、どうやって解るのよ」
僕は、背中に正体のない翔くんの体を背負いながら言った
「解るんじゃないよ、感じるんだ…
…きっと、あなたにも現れる筈だよ
ああ、この人だ、って思える、ピッタリ合わさる人が。」
「……」
僕は、翔くんをおんぶして、ヨタヨタと玄関まで行くと、彼女に言った
「あの……悪いんだけど、ドア開けてくれます?」
「……」
彼女は無言で歩いてきて、ドアを開けてくれた
「ありがとう」
「…本当に、出逢えると思う?……こんな、あたしでも」
「うん、勿論」
「……」
彼女は僕のコトをじっと見詰めてから、ドアを閉めた
小さな声で
“ありがとう、ごめんなさい”
と言いながら