第20章 ぷちバケーションin保養所、の巻
「あなた、翔くんの出張先の子だったんだね?
飲み会の時に、翔くんの隣にいた…」
「……え?」
驚いたように顔を上げた彼女に、僕は言った
「ごめんね?今思い出した。
僕、あの時酔っ払ってて、よく覚えてないんだけど……違った?」
「……違いません」
「やっぱり」
僕は握った手にキュッと力を入れて、彼女に言った
「こんなコト、もう止めな?」
「……」
「もっと自分を大切にしなきゃダメだよ?
あなたにだってきっと何時か、運命の人と出会える日が来るから」
「……」
僕は黙ったままの彼女の手を、もう一度キュッと握って、その手を離した
それから、床に散らばった翔くんの服を拾って翔くんに着せた
「……運命の人何か居ない……そんなの、信じない」
服を着せ終わって、どうやって翔くんを運ぼうかと考えていたら
震える声で、彼女が言った
僕は、振り向いて彼女を見ると言った
「貝合わせって遊び、知ってる?」