第20章 ぷちバケーションin保養所、の巻
(…昨日は一緒に入ったのにな…)
露天風呂に一人ぼっちで浸かりながら、昨日の事を思い出す
一日中、翔くんに抱いてもらって
…とっても幸せだった
「……翔くん」
またポロリと涙が零れて、水面に波紋が広がる
と、脱衣場の方から携帯の着信音が聞こえて来た
僕は慌てて湯船を出て、びしょ濡れのまま携帯を手に取った
其処には、待ちに待った人からの着信を知らせる文字が
僕はすぐに電話に出た
「もしもし翔くん!何処にいるの?どうしたのっ!!」
『……』
「もしもし?翔くん?もしもしっ!!」
必死に翔くんの名前を呼ぶも、一向に返答が無い
でも、電話の向こうには確かに誰かの気配がしている
僕は返事の来ない携帯に向かってひたすらに翔くんの名前を呼び続けた
「翔くんっ!返事して翔くんっ!!///」
『…彼なら、寝てるわ』
翔くんの声を待ちわびた僕の耳に
知らない女の人の声が冷たくそう言い放った