第19章 ライオンキング出張へ行く、の巻
『…え?飲み会?』
「……うん……ごめん智くん……」
電話をする隙をも与えられずに飲み屋に連行された俺は
「トイレに行く」
と称して急いで智くんに電話して、コトの顛末を話した
『…そっか…会社の付き合いじゃ仕方ないよね…』
「ごめんね智くん…
前もって知ってたら断ってたんだけどさ、終業間際になってイキナリ聞かされて
…予約も取ってあるとか言うしさ…」
『大丈夫だよ、翔くん。
僕のコトは気にしないで、楽しんで来て?』
「智くん…けど…」
『いいの』
智くんは柔らかい声でそう言うと、続けて言った
『明日からは、僕が独り占めするんだもん。
…仕方ないから今だけちょっと、会社の人に貸してあげる』
「さ、智くん///」
君って人はッ!!!////
『…でも』
健気な智くんの物言いに感動して悶絶していたら、ちょっと遠慮がちな智くんの声が…
『…出来るだけ早く、帰ってね?////』
「今すぐ帰りたいっすッ!!!(泣)」(←食い気味(笑))
──コンコン
「櫻井さん、大丈夫っすかぁ?」
余りにトイレから戻るのが遅かったので、チーフが俺を呼びに来た
『…皆さん、待ってるんじゃない?僕は平気だから、もう行って?』
「うん…解った…また後で電話するね」
『うん。待ってる///』
(あぁ…可愛いなぁ…
……マジ帰りたい(泣))
「櫻井さん?」
「…今、行きます」
俺は渋々電話を切って、トイレを出た