第19章 ライオンキング出張へ行く、の巻
「はぁあ〜……やっと終わったな」
今日も朝から大忙しな一日の仕事をやっと終えて
俺は伸びをしながら鞄を掴んだ
何時もなら、仕事が終わったら息つく暇もないくらいに速攻で帰るのだが
急いで帰った所で、そうまでして逢いたい人は、其処にはいなかった
(はぁ〜……帰ってから電話しよ)
何だか気が抜けてしまっていた俺は、すぐさま愛しの妻にラブコールを入れる気力もなく
ダラッと席を立つと職場からヌルッと退室した
「お疲れ様でした」
「 あぁ、どうも、お疲れさんッス」
俺は受付のお姉さんに挨拶をして、出張先の事務所の入ったビルを出た
「……腹へったな」
事務所から歩いてすぐの場所にある宿舎に向かいながら、ぺったんこの腹を擦る
時計を見ると、もう夜の8時を回っていた
「…はぁ…」
俺は溜め息を付いて、ガックリ肩を落とした
(昨日は智くんの愛情たっぷりの夕飯があったから、どうにかなったけどなぁ…)
「…1人で定食屋に行くのが妥当だけどなぁ…コンビニ弁当でも良いかなぁ…」
食糧を要求してグウグウと下品な音を立てる腹を擦りながら、どうにも何もする気が起きない俺
「……取りあえず、一回帰るか」
俺は定食屋にもコンビニにも寄らずに、そのままフラフラと宿舎へ向かった