第19章 ライオンキング出張へ行く、の巻
翌日
僕は一度出社した翔くんと駅で待ち合わせをして出張先へ向かった
隣の県だから直ぐだろうと思っていたら、房総半島の先の方で
電車やバスを乗り継いで、思った以上に時間が掛かった
お昼過ぎに、漸く会社が用意してくれた宿舎に到着して、部屋に荷物を置く
それから僕らは、お昼ご飯を食べに近くの食堂まで行くことにした
長閑な海辺の町を、翔くんと二人で手を繋いで歩く
「そう言えばさ」
翔くんがのんびり歩きながら言った
「なぁに?」
「そう言えばニノに言ったの?お茶会行かないって」
「うん。たぁちゃんに言っておいてくれるって」
「そっか。でもお爺さん残念がってるだろうなぁ(笑)」
「うふふ、そうだね(笑)」
ぷらぷら歩いて、適当なお店を見つけて中に入る
店員さんの威勢のいい声に出迎えられて席に座る
「てか、翔くん仕事は?
こんなにのんびりしてて、大丈夫なの?」
「うん。
朝会社から電話で確認したら、仕事は明日からで良いんだってさ。だから…」
翔くんはキュッと僕の手を握った
「今日は智くんと一日中デート♡」