第18章 翔くんの病気疑惑、の巻
その日の朝
僕は凄く、不安な気持ちに苛まれていた
どうしてなのか、全然解らないけど
…貴方が何処か遠くへ行ってしまいそうで…
怖くて、不安で…
僕は、堪らなく嫌な気分だった
「智くんどうしたの?なんか元気ないけど…」
朝ご飯のおにぎりを頬張りながら、翔くんが何時も以上に無口な僕を心配して言った
「…そんなコト、ないよ」
「あるでしょ?具合でも悪いの?」
「…悪く、ないよ」
「じゃあ…」
「何でもないよ。それより早く食べないと遅れちゃうよ」
僕はどうしても不安に駆られた原因を口に出して言いたくなくて
翔くんの言葉を遮るようにそう言うと、空いたお皿を持って、キッチンへ小走りに逃げ込んだ
(…翔くんが居なくなっちゃう気がして怖いなんて、言いたくない…
第一、そんなコト言ったら翔くん、お仕事休むとか言いかねないもん)
「…はぁ」
「こら」
シンクに手を付いて俯き、溜め息を付いたら、翔くんの逞しい腕が僕を包んだ