第4章 奥様(♂)を家族に紹介! の巻
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僕はいつの間にか溢れていた涙を拭きながら話しを続けた
「そう思ったらね…
…産まれなきゃ良かったなんて思ったら、逆に母が悲しむんじゃないかって…思ったの」
「…どうしてだい?」
「…だって
身体を壊してまで、一人で一所懸命僕の事育ててくれたのに…
…僕の事…いっぱいいっぱい想って亡くなったのに…
…僕が要らない子だったなんて思ったら、母の苦労が台無しだもの」
「…そうだね」
「きっと僕が幸せに生きてくことが、僕に出来る親孝行なんだって…
…僕、彼に出逢ってそう思える様になったの」
「…そうかい…彼……彼!?」
「…え?」
オジサンは眼を丸くして僕を見た
「君の…その…その人は…男なのかい!?」
「…そうですけど」
「まさか、君女の子とか…」
「…男です。」
「……」
オジサンは呆然として僕の顔を見つめた
「あの…大丈夫ですか?」
「…いや…ちょっと驚いて…すまんね」
オジサンはベンチに座り直した
「そうか…君…男の…」
「…?」
「…相手の男って言うのはどんなヤツだい?」
「とってもとぉーっても優しい人です」
僕は翔くんの事を自慢したくて前のめりになった
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