第4章 奥様(♂)を家族に紹介! の巻
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僕は体をオジサンの方に向けた
「君、いくつだい?」
「僕ですか?…30です」
「Σえぇ!?…あぁいや…すまんね、もっと若いのかと思って」
「いえ」
オジサンはちょっと照れ笑いをした…なんか可愛い
「じゃあ、うちのバカ息子と同じくらいだな」
「息子さん?」
「はぁ…そう、この溜め息の元凶だよ」
オジサンは言いながらまた溜め息をついた
「どうかしたんですか?」
「結婚したって言いだしてね…勝手に」
「はあ」
「しかも相手が…まあ、何て言うか…問題があってね」
「そうなんですか?」
オジサンは難しい顔をして腕を組んだ
「…まったく、何を考えているんだか…後で泣く様な事にならなきゃいいんだが」
「そんなにヒドイ人なんですか?」
「…いや、話しを聞いただけで会っては居ないんだが…」
「そうなんですか…でも羨ましいな」
「え?」
オジサンが組んでいた腕を解いて僕を見た
「そんなに心配してもらって、息子さんが羨ましいです」
「君、ご両親は?」
「…居ません」
「……」
僕は済まなそうに眉を下げるオジサンに笑って言った
「気になさらないで下さい…母を亡くしたのはもう随分前だし、父は…会った事もありませんし…」
「お父さんに会った事ないのかい?」
「ええ…僕…その…私生児ってやつなんで」
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