第4章 奥様(♂)を家族に紹介! の巻
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(…なんかカッコいいオジサンだな///)
隣に座ったオジサンは、多分五十後半くらいで、ちょっと渋い感じの、でもとっても優しそうなオジサンだ
(教授と同じくらいかな?)
僕は昔付き合っていた教授のことを思い出した
翔くんには内緒にしてたけど(またヤキモチ妬くから)僕はたまに、教授のお屋敷に絵を描きに行っていた
翔くんと暮らし始める少し前に、教授のお屋敷に置きっ放しだった画材を取りに行こうと思って、僕から連絡したのだ
もう随分前の物だからもう処分しちゃったかな、と思ったりもしたんだけど
教授は僕の画材道具をちゃんと手入れして取っておいてくれていて
それで、自由に遊びに来て良いと言う教授の言葉に甘えて、たまに教授のお屋敷に行って前に使ってたアトリエで絵を描いていた
僕は大抵、教授が留守の時に行って帰ってくるんだけど、たまに教授の帰りが早いと、一緒にお茶したりして昔話なんかしていた
(そんなこと話したら翔くんきっとヤキモチ妬き過ぎてヘンになっちゃうもんね)
…さっきもヘンだったけど
ぼんやりそんな事考えてたら隣に座った渋いオジサンが溜め息をついた
「大丈夫ですか?どこか具合でも悪いんですか?」
「いや、有り難う…ちょっと、考え事をね」
「なんか悩み事ですか?」
「ええ、まあ」
オジサンはもう一度溜め息をついて言った
「オジサンの独り言だと思って聞いてくれるかい?」
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