第4章 奥様(♂)を家族に紹介! の巻
.
「…つまんない」
僕は棚に並べられたお洋服達を摘んでは戻し、摘んではまた戻して…いじけていた
(…土曜日なのにな…翔くんとずっと一緒の日なのにな)
「…つまんない」
お洋服を弄ってたら店員さんに声を掛けられて、僕は慌ててお店を出た
翔くんが何でか知らないけど、このビルから出ないでお買い物しててってしつこく言ってたので
言い付け通りに、言われたビルに入ったお店を見て回ってるんだけど
…つまんない
僕はフロアの中央に設置されたベンチに腰掛けた
「…つまんない」
僕、さっきから“つまんない”ばっか言ってるなぁ
…とか思ってたら、知らないオジサンが僕に声をかけてきた
「失礼、ここ開いてますか?」
「…はい?」
見ると
設置されてるベンチは全部カップルで占領されていて、座れる場所は僕の座ってるベンチだけの様だった
「あ、どうぞ」
僕はベンチの端っこに移動した
「いや、どうも有り難う」
オジサンはにっこり笑ってベンチに座った
.