第14章 それぞれのバレンタイン♡、の巻
「……下らない」
今日は、2月14日
世間は、アホなお菓子屋が考えたバカなイベントで、浮ついている
「……何が、バレンタインデーだよ」
俺は手に持っていたポ〇キーを、口の中に押し込んだ
「……帰ろうかな」
ショーウィンドウに映る、惨めな自分を見て、急に虚しくなる
この一週間
雅紀は家に帰っていなかった
着替えを店に届けてやったりしてたから、毎日会ってはいたけど
ずっと、一緒に寝て無かった
朝目覚めると、何時も隣にある筈の、雅紀の背中
それを、この一週間ずっと拝んで無かった
恥ずかしい話し
俺は、その広い背中が恋しくて仕方なかった
其処にあるだけで安心できる
そんなモノって…なかなか無いと思う
ソレが無い部屋に居るのが嫌で
俺はこの一週間、夜な夜なフラフラと街を徘徊していたのだ