第13章 智の青いおもひで、の巻
(…アイツ、また性懲りも無く智に絡んでやがる)
俺は智に絡みつくクラスメイトの腕を掴んだ
そいつは、修学旅行で智を襲おうとしたやつで
明らかに智の事を狙っていた
俺はそいつの手を掴んだまま言った
「智はコレから母親の見舞いに行くんだ。遊んでる暇は無いぜ」
「小栗は大野の事なら何でも知っとるんやな」
「まぁな、トモダチだからな」
(…トモダチ)
自分で言っておいて、胸の辺りがチクリと痛む
(…本当に、そうなのか?)
“可愛い”と言われて赤くなる智を、何時もと同じ様にからかいながら
俺は胸に湧き起るどうしようもない感情を持て余していた
(…もっと、触れたい
…もっと、近くに感じたい
…智の…
…全部が、欲しい)
繋いだ手に、全神経が集中する
その綺麗な指が…俺を煽る
その全てを奪えと
…未知の快楽に溺れろと…
「途中まで一緒に帰ろうぜ」
俺は一刻も早く外に出たかった
…危険な物想いを打ち消す為に、密室から逃れたかった
でも、智から返って来た返事は
その危険を増長させるものだった
「うん…あ、その前にちょっと美術室寄っても良い?」