第13章 智の青いおもひで、の巻
(美術室?)
良いと返事をしながら、俺は秘かに冷や汗をかいていた
教室以上に人気のない、美術室
放課後の美術室なんて、恐らく誰も寄りつかない…
…完全に、二人きりの、密室…
少し俯き加減で話す、背の低い智の白いうなじが
艶やかな黒髪の間から覗いていた
(…綺麗なモノに触りたいって思うのは…男子として正常な感情だよな?)
俺はあくまでソレを“恋”だとは認めずに
ただ、思春期にありがちな性への好奇心なんだと思った
彼に、特別な感情があるから、抱きたいなんて思うんじゃない
ただ、SEXに興味があるから…それを試してみたいと思うから…
こんなにも彼に欲情してしまうのだ、と…
母親の元へ届ける絵を取りに行った美術室で
そのあまりの散らかり様に、綺麗好きな智が耐えきれず掃除を始めた
俺は壁に凭れて、ずっとその後ろ姿を見詰めていた
床を拭く彼の尻が、誘う様に左右に揺れていた
俺のなけなしの理性は
この時にはもう
微塵も残ってはいなかった