第13章 智の青いおもひで、の巻
智とは、高校に入ってから知り合った
桜舞う入学式の式典で、一際異彩を放つ美しい少年
それが、智だった
今思えば、その瞬間から俺は智に恋をしていたのだろう
だが、まだ幼かった俺は、その事に気付かずにいた
同じクラスになって、同じ様にクラスメイトから距離を取っていた俺達は、すぐに仲良くなった
柔らかい物腰の智は、皆から好かれていたけど
あまり積極的に自分から仲間の輪に入る様なコトはしなかった
それでも男ばかりの暑苦しい集団の中に在って、眩しい程の可愛さを振りまく智に言い寄るバカは
後を絶たなかった
俺はその度に嫌がる智をそのバカ共から守ってやっていた
親友なら、当然だ
俺は、そう思っていた
大好きな友達を悪漢の手から守るのはごく普通のコトで、別に智に対してアイツらと同じ感情があるからじゃない
他のヤツに話しかけられる智を見て、胸に湧き起る嫉妬を無かった事にして
俺は智の親友で居続けた
ずっと、彼の傍に居る方法は、他に無いんだ
友達なら…親友なら、何時までだって傍に…一番近くに居られるんだ
そう、思っていたから…