第13章 智の青いおもひで、の巻
旬がクスクス笑ったまま、僕が払い除けたその手を僕の肩に乗せる
僕は、肩に置かれた旬の手を掴むと、そのまま手を繋いだ
友達が…
しかも、男同士で手を繋ぐなんて。
それは傍からみたら、おかしなことだったかも知れない
だけどその頃の僕らは、何の違和感も無くそうしているのが日常で
…だから、そんなことをするのは、特別な感情があるからだって事には
お互い、気付かずに居た
「途中まで一緒に帰ろうぜ」
「うん…あ、その前にちょっと美術室寄っても良い?」
「良いけど、忘れ物?」
「ん〜、学校で描いた絵をお母さんの所に持って行くって約束してたんだけど、ナカナカ乾かなくて…
もう乾いてると思うんだけど」
「ふぅ〜ん」
僕らは話しながら教室を出て、美術室に向かった
「…乾いてる、かな?」
美術室に着いた僕は、そこに置いておいた油絵のキャンパスを、指で軽く触った
「どうでも良いけど、埃臭いな」
描いた絵を教室に置いておくのは流石に邪魔になってしまうので
先生にお願いして準備室に置かせてもらっていたんだけど
画材が乱雑に置かれたソコはおよそ掃除をした形跡が無く、埃と絵具の匂いが充満していた
「うん…ちょっと掃除してあげようかな?」
準備室の中央に置かれたテーブルの上の画材を持ち上げると、フワッと埃が舞った