第13章 智の青いおもひで、の巻
「大野ぉ〜♡
カラオケのタダ券もらったんやけどさ〜、今日俺と遊びに行かへん?」
「…行かない」
放課後の教室
大学入試が終わって、後は結果を待つばかりだったこの頃
僕は毎日学校帰りにお母さんの病院に通っていた
その日も何時もの様に一人でゴソゴソ帰り支度をする僕に、クラスメイトが声を掛けて来た
「なんや〜、釣れないなぁ〜!たまにはええやん♡」
「ちょっと!離せよ!」
僕は絡みつくように肩に回された腕を退けた
「うぅ〜ん、冷たいのぉ…一緒に風呂に入った仲じゃん♡」
「…入ってないし、襲われかけたし」
「だぁ〜かぁ〜らぁ〜、あんときのリベンジ♡」
「…尚悪いだろ、離せって」
しつこく回される腕を押し退けていたら、そのしつこい腕を誰かの手が掴んだ
「しつこい男は嫌われる…らしいぞ」
「あ、旬」
「なんやぁ、小栗が来よったかぁ」
迷惑なクラスメイトは顔をしかめて腕を引っ込めた