第13章 智の青いおもひで、の巻
「…毎度、ご馳走さま」
「ま、毎度ってなんだよ!き、キスしたのは……」
(……ハジメテ、だ)
僕は旬の眼を見たまま固まった
(…そうだよ…そんなコトはしてない…
ただ、動物の交尾みたいに…
……犯されただけだもん)
「……」
俯く僕の頭を、旬がそっと抱えて抱きしめた
「そうだったな…あの時は、キスなんかしてなかったもんな…」
「……」
「これで一個、心残りが減ったって訳だ」
「……心残り?」
「そう…だから言っただろ?」
旬は立ち上がると僕の手を握り直した
「あの時したかったコトさせてくれって」
「……」
戸惑う僕に、旬はニッコリ笑うと言った
「着いたから降りるよ?」
「……」
逃げ出さなきゃイケナイって思いながら
僕の手は、旬の手をしっかりと握り返していた