第13章 智の青いおもひで、の巻
櫻井翔(間もなく30歳)
只今、同窓会へ向かった愛しの奥様を尾行中。
「絶対おかしい…そして怪しい…何故に待ち合わせの一時間も前に集合場所へ?!」
俺はモ〇イ像の陰に身を潜めて智くんの様子を伺っていた
…って。
なんで、こんな探偵染みた事をしているかと言うと…
「だって、だってさ…」
聞けば智くんの通っていた高校は、何と男子校!
こんなに超絶可愛くてマキシマム綺麗な智くんがそんな烏合の衆の集まりに行って、無事で済む訳が無い!
しかも、だ
何やら先日の電話で、ヤレ“マドンナ”だのヤレ“興奮する”だのって危険なワードが飛びだしてたんだよ?
危ないでしょうが?危ないでしょうが?!
中には「俺前から大野のコト好きだったんだよねぇ〜♪」なんて言い寄って来る大馬鹿野郎が居るかも解んないだろう?
いや、居る
絶対居る!
確実に居るッ!!
そんなヤツに俺の可愛い智くんが掴まりでもしたら…
「嫌だっ!!ぜってー阻止ッ!!!断固死守ッ!!!」
そんな危険極まりない集まりに、一時間も早く行くなんて…
その上、何が納得が行かないって昨日から智くんったらてんで上の空で、俺の話しなんか一個も聞いてくれなかった
そんなにソワソワするくらい行きたいなんて…
まさか、考えたくないけど、当時好きだった人とか居て
そいつが同窓会に来るって聞いて…
違うと思うけど、違うって思いたいけど
この前の電話で言ってた“しゅん”ってヤツが…
そのまさかだったりとか…