第13章 智の青いおもひで、の巻
「……ただの、ゲーム」
僕の初めては、そんな下らない事の為に奪われたんだ
友達だって…
…親友だって、信じていた人の手で…
「…智?」
「え?」
後ろ手で結局指を弄りながら、ぼんやり待ち合わせの場所に突っ立っていたら、名前を呼ばれた
聞き覚えのある、ちょっと擦れた低い声
心臓の鼓動が一気に高まる
「…智だろ?」
「……」
もう一度聞き覚えのある声に呼ばれて、口から心臓が飛び出ちゃうんじゃないかって位緊張して振り向くと
其処には10何年経っても尚、あの頃の面影を十分残したちょっと影のある整った顔が、僕を見詰めていた
「…しゅ、ん?」
「やっぱり、智か…相変わらず…
……綺麗だな」
「…え?」
僕は、そのはにかんだ笑顔を見て
その笑顔に、胸が締め付けられる感覚を得て
当時自分が
彼に仄かな恋心を抱いていた事を、思い出していた