第13章 智の青いおもひで、の巻
(…緊張しちゃう(汗))
今日は、日曜日
…つまりは、同窓会の日だ
僕は、緊張の余り待ち合わせの場所に一時間以上早く着いてしまい、暇を持て余していた
(昨日のデートも、何だか落ち付かなかったし…翔くんに悪いコトしちゃったなぁ)
昨日は二人で久しぶりに美術館へ行ったんだけど、僕は終始上の空だった
翔くんはそんな僕に必死に話しかけてくれてたけど
正直言って、何の話しをしてたのかこれっぽっちも覚えて居なかった
僕の頭の中は、今日の同窓会の…
んーん、旬の事でいっぱいだったから
(…もう、10年以上前の話しじゃない…そんなの、とっくに笑い話になっても良い頃なんだから)
さっきから落ち付き無く弄っている指先をぼぉっと眺める
“智くんってさ、気持ちがモヤモヤしてる時ね、そうやって指遊びすんだよ?”
翔くんが言った言葉が頭を過った
「…本当だね、翔くん(苦笑)」
僕は落ち付きの無い指を、背中に隠した
(…大丈夫…向こうはもうとっくにそんなコト忘れてるに決まってる…)
そうだよ、本人も言ってたじゃない
「……」
彼の台詞と、その時の情景が脳裏に蘇って
胸に冷たい疼きが湧き起る
あの時の、旬の背中
旬が背中を向けたまま、僕に言った言葉
“…全部忘れろよ、智…
…これは、只のゲームだ”