第12章 しのぶと呼ばれたの~♪、の巻
「しのぶちゃんと居ると、昔の恋人を思い出すのじゃよ…」
相変わらず僕のお尻を狙うたぁちゃんの手をふん捕まえたら、たぁちゃんがボソッと言った
「え?恋人?」
「そうじゃ…青春のおもひでじゃ…」(←遠い目)
「たぁちゃん…」
「……」(←またケツを触ろうとしている)
「……じじぃ(怒)」(←バレタ)
僕が睨み付けると、たぁちゃんは大袈裟に飛び除いて首をブンブン振った
「Σしのぶちゃん!じじぃって言っちゃ嫌じゃぁっ!!」
「…ねぇ、何でそんなに言葉使いに拘るの?」
「忍は、絶対汚い言葉を使わなかったからじゃ!」
「…え?」
「名前、同じなんじゃよ」
たぁちゃんがさっきから見せていたフザケタ表情から一変して、痛い様な顔をした
「ワシの思い出の人と、な」
「…そう、だったんだ」
「まだ、時間があるでの…たぁちゃんの昔話を聞いてくれるかい?」
「うん」
僕はたぁちゃんに促されて、長椅子にたぁちゃんと並んで座った
「もう、半世紀も前の話しじゃよ…
ワシは、この二宮家を継いだばかりでの…息抜きの為に、銀座の蝶に癒されに行っておったのじゃよ…」
「…(息抜き?)」
「其処で、ワシは出逢ったのじゃ……忍に」
「その人って女の人だったの?」
「いや、女と偽って働いて居たんじゃ…それはそれは綺麗な…絶世の美少年じゃったよ」
たぁちゃんは深い息を吐くと、両手を膝の上で組んだ