第11章 二度目の新婚旅行、の巻
広場を埋め尽くした群衆がざわざわと騒ぎ出す
「あ、ねぇ翔くん、カウントダウンが始めるんじゃない?」
「そうっぽいねぇ」
なんて言ってたら設置されたスピーカーから音楽が流れ出し、ノリの良いお兄ちゃんの声がカウントダウン開始を告げる
群衆の期待と興奮が高まる中、ついにカウントダウンが始まる
10・9・8…………3・2・1…!!
「ぅわぁーー!!///」
「すっげぇーー!!!///」
花火が夜空に舞いあがり、音と光が溢れる
そこら中から歓喜の声が上がって、会場は熱気の渦に沸き返った
「翔くんっ!凄いねぇ!!」
「うんっ!智くん、スンごいねぇっ!!!」
がっちり密着しているのに、声を張り上げないとお互いの声が聞こえない
「翔くん!明けましておめでとぉ!!今年もよろしくねぇ!!」
「智くんも!明けましておめでとぉお!!」
コートに包んだ智くんのカラダをなんとか反転させて此方を向かせる
「智くん!何時までも宜しくねっ!愛してるよっ!!」
「僕も愛してるぅ!翔くん!!ずっと!ずぅーっと!!///」
コートの上から智くんを抱きしめて、興奮の所為なのか赤く艶めいているその唇にキスをする
群衆に紛れて、俺達の熱い吐息が掻き消される
だけど
沢山の人中で、しっかりと抱き合って口づけを交わす俺達の間には
確かに俺達だけの空間が広がっている様な気がしていた