第10章 翔くんVSさとしくん、の巻
僕と翔くんのやり取りを見て、呆れ返った様な声を出す潤くん
僕は翔くんを抱きかかえる様にして立ち上がると言った
「全然大変じゃないよ?
翔くんはね、一生懸命過ぎて、ちょっと暴走しちゃうだけなの…ねぇ?翔くん」
「ゔ〜、ざどじぐぅう〜んっ!!(号泣)////」
何故か余計に泣きだす翔くん
「もぉ、泣かないの…ほら、またお鼻が…」
僕は翔くんの涙と一緒に垂れ続ける鼻水を拭いてあげた
「……なんか、アレだな……」
「ん?何か、何?」
潤くんは何か言いかけてから口の端をちょっと上げて笑うと、「何でも無い」と言って僕に背を向けた
「…?」
「見送れなくて申し訳ないんだが、このままさとしを寝かしつけたいから、そのまま帰ってくれるか?
…鍵はオートロックだから」
背中を向けたまま潤くんが言う
その背中は、少し寂しそうに見えた
「…うん、解った…今度はさとしくんを連れて、家に遊びに来てね?」
「ああ………その内、な」
「……」
翔くんはスンスン鼻を鳴らしながら、黙って僕と潤くんを見ていた
僕は翔くんと手を繋ぐと、「じゃあ、またね」って言って部屋を出た
玄関まで来て僕が靴を履き終えると、翔くんが急に忘れ物をしたと言いだした
「智くん先に車に行ってエンジン掛けてて…解るよね?」