第10章 翔くんVSさとしくん、の巻
「エンジン位なら掛けられるけど…此処で待ってるよ」
「いや、先に行ってて。エンジン温めといた方が良いから」
そう言うと、翔くんが珍しく強引に車の鍵を握らせた
「ね、お願い」
「…そう?解った」
「ごめんね、スグ行くから!」
僕は足早に部屋へ戻って行く翔くんの背中に呟いた
「…忘れものも何も…翔くん手ぶらだったじゃん(苦笑)」
(翔くん、嘘が下手だなぁ)
…なんて思いながら、僕は潤くんの家を出た
車に乗り込むと、言われた通りにエンジンを掛ける
きっと今頃、翔くんは全身全霊で潤くんにお詫びを言っているに違いない
その謝罪は
今日の事から始まって、果ては彼から僕を奪った事までに至っているかもしれない
…翔くんは、そうゆう人だ
「…戻って来ても、何を忘れたのかは聞かないであげよう(笑)」
だから、早く戻って来てね
僕の優しい優しい旦那さま…