第2章 新婚な俺たち、の巻
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「……ぅう………はっ」
僕は悪夢から目覚めてベッドの上に飛び起きた
「……!」
起こしてしまったかもと翔くんを見ると、翔くんは眠っているみたいだった
(良かった…こんなトコ見られたら心配させちゃう…でも、どうしよう…)
まだ涙が勝手に溢れて来て、止まってくれそうにない
僕はそっとベッドを抜け出して洗面所に行った
「酷いカオ…」
鏡に映った僕の顔は、涙でびしょびしょで、目も鼻も真っ赤だった
僕は時々昔の夢を見る
それは何時も同じ夢
潤くんが…僕を置いて行ってしまう夢
僕がいくら行かないでと叫んでも、潤くんは振り向きもせずに行ってしまう
僕はどんどん遠くなる背中に向かって、ひたすら“行かないで”と叫ぶ
…そんな夢を見る
「…僕には翔くんが居るのに…ずっと傍に居て…ずっと僕だけ見ていてくれてるのに…」
僕は何でそんな夢を見てしまうんだろう
自分が情けなくて…翔くんに申し訳なくて…また涙が溢れて来た
(僕のばか…)
悔しくて悲しくて、思わず声が漏れそうになる
(だめ…翔くんが心配しちゃう…泣いちゃダメ…!)
そんな気持ちと裏腹に止まらない涙
「…ぅっ……ぅぅ……」
僕は両手で顔を押さえた
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