第8章 智くんのお父さん、の巻
「…そのおじさんが…僕のお父さんだったら良かったのになぁって、思ってた…」
「うん…」
「…だから、毎月届く花束を、僕もお母さんと一緒になって、凄く楽しみにしてたんだ…」
「そっか…」
「……翔くん」
智くんはまた溢れそうになった涙を誤魔化す様に俺の腕に顔を押し付けた
「…僕、どうすればイイ?…どうしたらイイと思う?」
「俺は……智くんが、したい様にすれば良いと思うけど…」
「…じゃあ、僕が女の人と結婚しても、良いの?」
「それは…嫌だけど…」
智くんは可愛くクスンと鼻をすすると、顔を上げて俺を見た
「僕が翔くん以外の人と一緒になれる訳、ないじゃん」
「智くん…」
「…でも、放っておけない…あの人のお願いも、聞いてあげたい…」
「……」
また、どうすれば良いのって言いながら泣く智くんを、俺は抱きしめる事しか出来なかった