第8章 智くんのお父さん、の巻
「智くんっ!智くん帰ってる!?」
俺は急いで帰るとリビングに傾れ込んだ
「さ…智くん!?どどどどうしたの!!?」
其処にはリビングのテーブルに両腕で顔を抱え込む様にしてうつ伏せている智くんが居た
おまけにその細い肩が震えている
「智くん?智くん大丈夫!?」
「…ふぇ…しょおくん…僕…僕どうすればいいの…」
肩を抱き寄せると真っ赤に泣き腫らした顔を上げて智くんが言った
「どうって…一体何があったの?」
「…僕…あの人を知ってた……僕…あの人に会った事があったんだ…」
「……え?」
どうゆうこと?
智くん確かお父さんの顔も見た事無いって…
「…翔くん……僕……どうしたらいいのか解らないよ…」
「…智くん」
俺は智くん以上に何をどうすりゃ良いのかサッパリ解らず
“どうすればいいの”
って、泣きながら繰り返し呟く智くんを黙って抱きしめていた
そして、智くんが落ち着くのを待って事情を聞いた俺は
予想外の事態と、その事で揺れている智くんを見て、これはトンでも無いコトになった、と
ただ茫然とするしかなかった…